先日、NISAを真っ向から否定されました。
言ってきたのは、保険会社で営業をしている知人です。
僕より年上で、昔から知っている人です。
そして、その知人はFP1級を持っています。
お金の資格としては上位のものです。
自分はNISAでインデックス投資を始めて、何年か経ちます。
年数を重ねるごとに、資産も少しずつ大きくなってきました。
数字が積み上がってくると、思うようになります。
これは大事な家族や仲間にも伝えたい。
だから集まったときには、保険の見直しの話をしたり、
NISAをすすめたりするようになりました。
周りにも良くなってほしい。それだけでした。
その日も、仲間で集まって飲んでいました。
お酒も入って、お金の話になりました。
その流れでこう言われました。
「世間が話題にしてるだけで、NISAとか全然意味ないで」
みんながいる前でした。
この記事には、その日に言われたことと、
家に帰ってから調べた内容を全部書きます。
先に言っておくと、後半はiDeCoの話が中心です。
調べてみたら、本当にややこしいのは
そっちだったからです。
「何言ってるねん」と思いながら、少し心配になりました
正直に書きます。
知識はあったので、騙されはしませんでした。
投資歴もそれなりに長いですし、
自分もFP3級を持っています。
だから話を聞いたときの感想は「何言ってるねん」でした。
こんな話、ありえない。

本気で言うてるんかな・・・
そう思いました。
でも同時に、少しだけ心配になった部分がありました。
これがこの記事を書いている理由です。
営業の人は話がうまい。
その場をしのぐ言葉も、
人を不安にさせる言葉も、
容赦なくスラスラ出てきます。
そういう言い方をされると、
知識があっても一瞬、足元が揺れます。
しかも相手はFP1級を持っています。
資格があると、言葉の重みが変わるんです。
その場にいたのは、
ふだん投資の話をしない人たちでした。
僕と知人が言い合っているのを聞いて、
どちらを信じるか。
普通は保険会社のほうです。
それが本業で、プロですから。
僕はただの素人です。
実際、その場の空気は
「自分が間違ったことを言っている人」
のほうへ傾きかけていました。
間違っていることを、ここまで信じさせられる。
別の意味で感心しました。
僕はこれまで、保険会社と話す機会を
意識的に避けてきました。
この力を知っているからです。
気をつけないといけない。
そして、周りを守らないといけない。
そう強く感じました。
言われたことは、3つでした
まとめると、こうです。
①会社員がNISAをやっても、結局は税金で取られる
②NISAは、退職するときに課税される
③iDeCoもやっていたら、退職のときに余計にややこしいことになる
途中からは国の陰謀論のような話も出てきました。
もちろんその場で反論しました
さすがに黙っていられませんでした。
まず、こう言いました。
「それは間違ってますよ。
NISAが退職と絡むなんて、聞いたこともないです」
「NISAはずっと続けられる制度なのに、
退職のタイミングで左右されるっておかしくないですか」
「それ、iDeCoの話ですよね? 混ざってますよ」
でも、相手は引きません。
こちらも引けませんでした。
理由は2つあります。
ひとつはみんなの前で言われたことです。
その場には、投資を始めたばかりの人もいました。
黙っていたら、周りが勘違いします。
もうひとつは、僕自身がNISAを周りにすすめている側だからです。
「良かったらやってみて」と伝えてきた人間が、
間違った話を黙って聞いているわけにはいきません。
嘘は言えない。
だから、議論が続きました。
念のために書いておくと、口論にはなっていません。
お互い大人ですし、昔からの知り合いです。
ただ、なかなか終わりませんでした(笑)
その場で、AIにも調べてもらいました
言い合いだけでは、水掛け論で終わります。
なので、スマホを出しました。
いつも使っているClaude(AI)に調べてもらったんです。
結果ははっきりしていました。
知人の言っていることのほうが間違っている。
画面を見せました。
返ってきたのはこの一言です。
「AIも間違えること言うからな」
なるほど。と思いました。
自分は間違えていない、というスタイルです。

AIが言ってることが全てやろ・・・
間違っていても、自信を持って言えば
真実に聞こえてしまう(笑)
本人は本気で信じていました
話しているうちに、分かってきたことがあります。
その人は、嘘をついているわけではなかったんです。
本気で、そう思って話していました。
自分の中では、それが「常識」なんです。
ここまできて、僕はこう聞きました。
「組織的に、そう教え込まれているんですか?」
「大丈夫ですか。会社に騙されてませんか?」

さすがに言い過ぎたかな・・・
半分は本気でした。
一人の思い込みにしては、話が体系的だったからです。
ここがいちばん引っかかりました。
間違った情報を、正しいと信じ込んでいる。
しかもその人は、FP1級という上位の資格を持っています。
そのとき思いました。
資格の重みなんて、ないな、と。
世の中には、
それを常識だと思い込まされている人がいる。
改めて、そう感じました。
その人が悪い、という話ではありません。
人は、自分が教わったことを疑いません。
僕だってたぶん同じです。
だからこそ、自分で確かめるしかないんだと思いました。
ちなみに、保険屋と戦うつもりはありませんでした。
陥れようとも、マウントを取ろうとも思っていません。
大事な仲間が騙されないように。
そして、すすめてきた自分を守るために。
それだけで動きました。
話の終わり方
最後は、こうなりました。
「本人が決めて、納得して続けるならそれでいいんちゃう?
税金取られてもしらんけど」
そこで終わりです。
さっきも書きましたが、
保険そのものを否定したいわけではありません。
保険には保険の役割がありますし、
その人に助けられている人もいるはずです。
ただ、みんなの前で言われました。
周りを勘違いさせてしまう。
だから、あの場では強く反論させてもらいました。
そしてその日のうちに、言われた内容を全部調べ直して、
集まっていたみんなに共有しました。
以下が、その内容です。
同じことを言われた人が、その場で答えられるように書いておきます。
①と②は、単純に間違いです
NISAは、利益に税金がかからない制度です。
普通の口座なら、
100万円もうけたら約20万円が税金で引かれます。
NISAなら、それがゼロです。
これは働き方に関係ありません。
会社員でも、自営業でも、同じです。
そして、退職するときに課税されることもありません。
理由はシンプルです。
NISAの利益は、そもそも所得として数えられません。
数えられないものは、退職金と足しようがないんです。
その場で言った
「それ、iDeCoの話ですよね?」というのは、
調べ直しても、そのとおりでした。
①も②も、事実と違います。

③は、方向性だけ合っています

「iDeCoもやっていたら、退職のときに余計にややこしい」
これは、言いたいことは分かります。
iDeCoは実際、受け取り方で税金が変わる制度だからです。
ただ「ややこしいから意味がない」わけではありません。
仕組みを知って、受け取り方を選べばいい話です。
ここからは、その中身を書きます。
たぶん、この記事でいちばん役に立つ部分です。
まず、受け取り方が3つあります

ここを知らないと、この先の話が分かりません。
①一時金でまとめて受け取る
→「退職所得」として扱われます
②年金のように分けて受け取る
→「雑所得」として扱われます
③一時金と年金を組み合わせる
どれを選ぶかで、税金の計算がまるごと変わります。
ややこしいと言われるのは、
①の一時金を選んだときの話です。
「退職所得控除」という枠があります
退職金には、大きな非課税の枠があります。
それが「退職所得控除」です。
計算式は決まっています。
・勤続20年以下
40万円 × 勤続年数(最低80万円)
・勤続20年超
800万円 + 70万円 × (勤続年数 − 20年)
たとえば勤続30年なら、
800万円 + 70万円 × 10年 = 1,500万円。
この金額までは、税金がかかりません。
長く勤めた人ほど、枠が大きくなる仕組みです。
なお、1年未満の端数は1年に切り上げます。
問題は、この枠を2つで分け合うことです

ここが、いちばん大事なところです。
iDeCoを一時金で受け取ると、
それも「退職所得」になります。
会社の退職金と、同じ扱いです。
そして退職所得控除は、
会社の退職金とiDeCoで共通の枠なんです。
別々に1つずつもらえるわけではありません。
正確に書くと、同じ年に両方を受け取る場合は、
勤続年数とiDeCoの加入年数を並べて、
重なっている期間を除いた年数で控除額を計算します。
勤続30年・iDeCo加入20年で、
その20年がまるごと勤務期間と重なっているなら、
使えるのは30年分の枠だけです。
「2つ分の枠がもらえるわけではない」
ここだけ押さえておけば十分です。
枠に収まればゼロ。
はみ出した分に、税金がかかります。
毎月コツコツ積んでいれば最後は全部もらえる、
という話ではないということです。
しかも、今年ルールが変わっています
ここは、意外と知られていません。
2026年1月から、ルールが変わりました。
以前は、iDeCoを先に受け取ったあと、
退職金をもらうまで5年空ければ、
枠がリセットされました。
それが「10年」に延びています。
正確に書くと、
iDeCoを受け取った翌年から数えて
9年以内に退職金を受け取ると、調整が入ります。
つまり、実質10年です。
10年です。
60歳でiDeCoを受け取って、
定年で退職金をもらう。
このあいだに10年を空けるのは、
現実的にはかなり難しいです。
しかも最近は、定年が延びています。
65歳まで働く人が、どんどん増えました。
60歳でiDeCoを受け取っても、
退職金をもらうのは65歳。
空くのは、5年だけです。
定年が延びたぶん、
かえって受け取り方の設計が難しくなっています。
逆の順番なら、20年です
「じゃあ、退職金を先にもらえばいいのでは」
そう思う人もいると思います。
でも、こちらはもっと長いです。
退職金を先に受け取った場合、
その前年以前19年以内は調整の対象になります。
避けようとすると、20年以上空ける必要があります。
60歳で退職金をもらって、
iDeCoを80歳で受け取る。
現実的ではありません。
つまり、どちらの順番でも
きれいに避けるのは難しいということです。
逃げ道はあります
さっき書いた受け取り方の②です。
iDeCoを年金のように分けて受け取ると、
「雑所得」になります。
退職所得ではなくなるので、
退職所得控除の枠を分け合いません。
ただし、こちらにも別の話があります。
雑所得には「公的年金等控除」という別の枠があって、
公的年金と合算して考えることになります。
つまり、
「こっちにすれば得」という単純な話ではありません。
一時金にするか、年金にするか、組み合わせるか。
どれが有利かは、
勤続年数、退職金の額、iDeCoの残高、
そして年金の受け取り方で変わります。
僕自身も、まだ受け取り方は決めていません。
定年までまだ時間がありますし、
そのあいだに制度がまた変わる可能性もあるからです。
大事なのは、いま結論を出すことではなく、
選択肢を知っておくことだと思っています。

自分の数字で計算してみてください
制度の話は、ここまでです。
あとは自分の数字に当てはめるだけです。
3つ確認すれば、自分が対象かどうか分かります。
①自分の勤続年数から、退職所得控除がいくらになるか
20年超なら
800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)
②会社の退職金が、だいたいいくらになりそうか
就業規則か、総務に聞けば分かることが多いです
③iDeCoが60歳時点でいくらになりそうか
運営管理機関のサイトで試算できます
この3つを足して、①の枠に収まるかどうか。
僕も計算しました。
結果は、退職金だけなら枠に収まる。
でもiDeCoを同じ年に足すと、はみ出す。
つまり、受け取り方を考える必要がある側でした。
ここは制度が複雑なので、
最後は必ず専門家に確認するつもりです。

調べてよかったです
いちばん伝えたいこと
制度の話を長々と書きましたが、
本当に伝えたいのは、その手前のことです。
あの日、僕は3つとも反論できました。
その場でAIにも確認しました。
それでも、少し心配になったんです。
それだけ、断言する人の言葉は強い。
肩書きがあれば、なおさらです。
そして怖いのは、
本人が本気でそれを正しいと信じている場合です。
嘘をつく人より、
思い込んでいる人のほうが、迷いなく話します。
だから、こう思っています。
プロの話も、いったん持ち帰って自分で確かめる。
疑うためではありません。
自分と家族のお金を、自分で守るためです。
お金の話は、声の大きさや肩書きで決まりません。
自分で調べて、自分の数字で確かめる。
それができれば、誰に何を言われても大丈夫です。
まとめ
・資格や肩書きは、その人の話が正しいことの保証にはならない
・断言されると、知識があっても一瞬揺れる。それが普通
・NISAは働き方に関係なく利益が非課税。退職時に課税されることもない
・NISAの利益は所得として数えられないので、退職金と足されようがない
・iDeCoを一時金で受け取ると「退職所得」になり、退職金と同じ枠を分け合う
・退職所得控除は勤続20年超なら800万円+70万円×(年数−20)
・2026年1月から、iDeCoを先に受け取る場合の調整期間が実質10年になった
・退職金が先の場合は20年。どちらの順番でも避けるのは難しい
・年金で受け取れば退職所得ではなくなるが、別の控除の話になる
・誰が言ったかではなく、何を言ったかで自分で判断し、腹落ちすること
※すべて僕自身が調べた記録です。特定の制度や商品をすすめるものではありません。
※税の取り扱いは個別の事情で変わります。実際の判断は専門家にご確認ください。



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