含み損を抱えた株を、売れないまま何年も持ち続けている。
いわゆる「塩漬け株」です。
「いつか戻るはず」と思って待っているうちに、気づけば何年も経っていた。そんな経験、ありませんか。
僕自身、過去に大きな失敗をしてきました。だからこそ、この「待っている時間」に何が起きているのかを、きちんと知っておいてほしいと思っています。
この記事では、塩漬け株の本当のコストと、そうならないための「損切りライン」の決め方を、できるだけ具体的にまとめました。
こんな方に読んでほしい
- 含み損の株を、売れないまま持ち続けている方
- 「いつか戻る」と思って待っているけれど、不安な方
- 損切りができなくて悩んでいる方
- これから個別株を買おうと思っている方
「いつか戻る」を待っている間に、何が起きているのか
含み損の株を持ち続けている時、多くの人はこう考えます。
「売らなければ、損は確定しない」
たしかに、その通りです。売らなければ、損失は数字の上では確定しません。
でも、その間ずっと、そのお金は身動きが取れなくなっています。
これを「資金ロック」と言います。
たとえば100万円で買った株が、50万円になったとします。売らずに持ち続ければ、損は確定しません。でもその50万円は、戻るまでの間、他のどこにも使えません。
新しく良いと思える投資先が見つかっても、買えない。生活で急にお金が必要になっても、大きく減った状態でしか現金化できない。
動かせないお金は、その間ずっと「働けない」状態にあります。
塩漬け株の本当のコストは「機会損失」
ここが、いちばん見落とされやすいところです。
塩漬け株のコストは、「含み損の金額」だけではありません。
そのお金が、本来なら別の場所で増えていたかもしれない分。これも失っています。これを機会損失と言います。
仮に、その50万円を別の投資先に移して、年3%で運用できたとします。あくまで計算上の例ですが、5年で約8万円、10年なら約17万円ほど増える計算になります。
もちろん、これは「必ずそうなる」という話ではありません。移した先が値下がりする可能性もあります。
ただ、塩漬けにしている間は、増える可能性そのものがゼロになる。ここは意識しておく価値があります。
そして厄介なことに、塩漬け株は放っておくと、じわじわと口座全体の重荷になっていきます。「動かせないお金」の割合が増えるほど、資産全体が身動きを取れなくなっていくからです。
なぜ、人は損切りできないのか
頭では分かっていても、実際に損切りするのは本当に難しいです。
これには、人間の心の仕組みが関係していると言われています。
行動経済学では、人は「増えた喜び」よりも「減った悲しみ」のほうを、2倍近く強く感じるとされています。損失回避と呼ばれるものです。
同じ10万円でも、増えた時のうれしさより、減った時のつらさのほうが、ずっと大きい。
だから、損を確定させる行動(損切り)には、強いブレーキがかかります。「まだ確定していない損」のほうが、心理的にはラクなのです。
さらに、こんな心理も重なります。
- ここまで待ったのだから、今さら売れない(これまでかけた時間がもったいないと感じる)
- 売った直後に上がったら悔しい
- 自分の判断が間違いだったと認めたくない
つまり、損切りできないのは、意志が弱いからではありません。誰にでも同じブレーキがかかります。
だからこそ、感情が入る前に、あらかじめルールを決めておく必要があります。
損切りラインの決め方(僕がやっている4ステップ)
ここからは実務です。僕が個別株を買う時に、実際にやっている手順を書きます。
ステップ1:買う「前」に決める
これがいちばん大事です。
買ったあとに損切りラインを決めようとしても、もう感情が入ってしまっています。含み損が出てから「いくらで売ろう」と考えると、必ず甘くなります。
買う前、まだ冷静なうちに決める。これだけで全然違います。
ステップ2:「なぜ買うのか」を言葉にしておく
損切りラインは、値段だけの話ではありません。
その株を買った理由が崩れたら売る。これが本質だと僕は思っています。
たとえば「業績が伸びているから買った」なら、業績が明確に悪化した時点で、買った理由は消えています。値段が上がっていても下がっていても、前提が変わったなら、そこは判断のタイミングです。
買う理由を言葉にしておかないと、あとから「なんとなく持っている」状態になります。これが塩漬けの正体です。
ステップ3:耐えられる金額から逆算する
次に、金額のラインです。
よく「マイナス10%で損切り」「20%で損切り」といった目安が語られますが、正解の数字はありません。人によって、資産の状況も性格も違うからです。
僕がおすすめしたいのは、率から決めるのではなく、「いくらまでなら減っても平常心でいられるか」から逆算するやり方です。
「10万円までなら受け入れられる」と思えるなら、その金額に収まる範囲で買う量とラインを決める。
ここで大事なのは、騒がずにいられる金額かどうかです。
相場が下がるたびに「数千万円のマイナス」と大きく騒いでいる声を見かけることがあります。でも、そこまで動揺してしまうということは、その時点で自分が耐えられる金額をとっくに超えてしまっているのだと思います。
金額の大小ではなく、自分が冷静でいられるかどうかが基準です。
ステップ4:決めたら、機械的に実行する
決めたラインに来たら、その場で考え直さない。
「もう少しだけ待とう」が始まった時点で、ルールは無いのと同じになります。
自分の意志を信じきれない場合は、あらかじめ「この価格まで下がったら自動で売る」という注文(逆指値注文)を入れておく方法もあります。仕組みに任せてしまえば、感情が入る余地がなくなります。
ただし、インデックスの積立は話がまったく別です
ここは必ず分けて考えてください。
ここまでの損切りの話は、値動きの大きい「個別株」の話です。
オルカン(全世界株式)のような、世界中に分散されたインデックスファンドの積立は、考え方がまったく違います。
理由はシンプルで、世界経済全体が長い時間をかけて成長していくことに乗る投資だからです。個別の会社のように、その企業が倒れて価値がゼロになる、という性質のものではありません。
だから僕は、インデックスの積立については、下がっても売りません。むしろ下がっている時期も、淡々と積み立てを続けています。
- 個別株 … 買った理由が崩れたら手放す。損切りラインを決めておく
- インデックス積立 … 下がっても売らず、淡々と続ける
この2つを混ぜてしまうと、いちばんダメなタイミングで積立をやめることになりかねません。ここだけは、はっきり分けてください。
塩漬けを作らないために、僕が普段やっていること
最後に、そもそも塩漬けを作らないための習慣を3つ。
1. 生活防衛費は、投資と完全に分けておく
当面の生活費を別によけてあります。これがあるから、相場が下がっても「売らなければ生活できない」状況になりません。慌てて動かなくて済むのが、いちばんの守りです。
2. なくなっても生活が壊れない範囲でやる
投資に回すのは、最悪なくなっても生活が続くお金だけにしています。
3. 借りたお金では勝負しない
これは僕自身の失敗から学んだことです。返さなければいけないお金があると、焦りで正常な判断ができなくなります。
まとめ
- 含み損を持ち続けている間、そのお金は「資金ロック」状態にある
- 塩漬け株のコストは、含み損の額だけでなく、増えたかもしれない機会も失っている
- 損切りできないのは意志の弱さではなく、人間の心の仕組み(損失回避)
- だから、買う前に損切りラインを決めておく
- 数字よりも「自分が冷静でいられる金額か」が基準
- インデックス積立は別。下がっても売らない
一発で当てることよりも、退場しないこと。
大きく負けて相場からいなくなってしまえば、そこで終わりです。生き残ってさえいれば、チャンスは何度でも巡ってきます。
僕はそう思って、今も地味に続けています。
※この記事は僕自身の考えと経験をまとめたものです。特定の銘柄や売買を推奨するものではありません。最終的な判断は、ご自身の状況に合わせて行ってください。
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